カルティエの数ある時計の中で、ひときわ異彩を放つ「ベニュワール」。
その優雅なオーバル(楕円形)のフォルムに惹かれつつも、「なぜこの形なの?」「いつから存在するの?」と、その背景に深い興味をお持ちではないでしょうか。
カルティエのベニュワールの歴史は、単なる時計の歴史ではなく、100年以上にわたるデザイン探求の物語です。1912年の革新的な原型から、コレクターが探し求める「リューズなし」の廃盤モデル、そして2023年に大胆に復刻された新作まで、ベニュワールは常に時代をリードするアイコンであり続けました。
しかし、その個性ゆえに「普段使いできる?」「買って後悔しない?」といった現実的な疑問や、「中古での資産価値は?」という懸念もつきまといます。
この記事では、ベニュワールの完全な歴史的変遷から、現代における価値まですべてを徹底的に解説します。
- 1912年からの完全な歴史とデザインの変遷
- 幻の「リューズなし」廃盤(旧型)と2023年新作(復刻)の全貌
- カトリーヌ・ドヌーヴら愛用芸能人と「通好み」といわれる理由
- 普段使いや資産価値まで、購入前の全懸念を解消
この記事を読めば、あなたがベニュワールに惹かれる理由、その歴史的価値のすべてが明確になりますよ。
カルティエ ベニュワールの歴史を紐解く|100年続く美の系譜

カルティエの時計には「タンク」や「サントス」「パンテール」といった、誰もが知る偉大なアイコンが存在します。
その中で「ベニュワール」は、少し控えめながらも、知る人ぞ知る「通好み」のモデルとして特別なオーラを放っています。
なぜベニュワールは、一部の人々を強く魅了し続けるのでしょうか。
その答えは、カルティエ ベニュワールの歴史そのものに隠されています。
ベニュワールの歴史は、単に古い時計というだけでなく、100年以上にわたるカルティエのデザイン哲学の探求と、揺るぎない美意識の結晶といえるでしょう。
ベニュワールの意味と名前の由来「バスタブ」

ベニュワールの最大の特徴である、優雅でなめらかなオーバル(楕円形)のフォルム。
この形状が、フランス語で「バスタブ(浴槽)」を意味する「ベニュワール(Baignoire)」という名前の由来となりました。
西洋の伝統的で自立式(猫足など)のバスタブを想起させる、ふっくらとした曲線美が、この時計のアイデンティティになっています。
なぜベニュワールは「通好み」といわれるのか?
ベニュワールが「通好み」といわれる理由は、その誕生の背景と素材へのこだわりにあります。
流行に左右されない独自のフォルムを持ちながら、ケース素材は基本的に18Kゴールドのみ(ステンレスモデルがほぼ存在しない)という、ジュエリーとしての高い格式を貫いているからです。
この記事では、1912年の誕生から、幻の廃盤モデル、そして2023年の大胆な復刻(新作)まで、ベニュワールの完全な歴史と、その現代における価値を徹底的に解説します。
カルティエ ベニュワールの歴史【誕生と変遷】
ベニュワールの物語は、メゾンの3代目当主であるルイ・カルティエの革新的なビジョンから始まりました。
1912年 楕円形の原型が誕生

20世紀初頭、時計のデザインは懐中時計から派生した「円形」が絶対的な主流でした。
ルイ・カルティエはこの既成概念に飽き足らず、まったく新しいウォッチのフォルムを絶えず模索していたのです。
1904年には、世界初の腕時計とされる「サントス」の歴史においてスクエア(四角形)を生み出し、1917年には同時期に誕生した「タンク」の歴史でレクタンギュラー(長方形)を採用しました。
そして1912年、彼はその探求の答えの一つとして、優雅なオーバルシェイプのウォッチをデザインします。
これが、後に「ベニュワール」と呼ばれる時計の、直接的な原型となりました。
1958年 完成形「オーバル サントレ」へ
1912年の原型デザインから数十年の熟成期間を経て、1958年にベニュワールの実質的な完成形といえるモデルが登場します。
「オーバル サントレ(湾曲したオーバル)」と名付けられたこのモデルは、手首のカーブに沿うようにわずかに湾曲したケース、優美なドーム型の風防(ガラス)、そしてローマ数字のダイアルが特徴でした。
1912年の原型から1958年の完成まで、実に46年もの歳月が経過している事実は、カルティエのデザインが、流行ではなく普遍的な美しさを追求する、忍耐強い探求であったことを示しています。
1973年 コレクションとして公式化
1958年に登場したオーバルウォッチは、当時の洗練された女性たちから絶大な支持を集めました。
その人気を受け、1973年に正式に「ベニュワール」コレクションとしてシリーズ化されます。
この公式化により、ベニュワールはカルティエのアイコニックなレディースウォッチとして、その地位を揺るぎないものとしたのです。
素材の哲学 18Kゴールドへのこだわり
ベニュワールが他のコレクションと一線を画す最大の理由が、誕生以来守り続けてきた素材への厳格な哲学です。
ベニュワールのケースには、原則として18Kのイエローゴールド、ピンクゴールド、またはホワイトゴールドのみが使用されます。
「タンク マスト」のようなステンレススチールモデルは、基本的にラインナップされません。
この「本物」の貴金属にこだわる姿勢は、ベニュワールを単なる時計ではなく、「手首にまとうソリッドゴールドのジュエリー」として定義づけるものでした。
この戦略が、ベニュワールを絶対的な「憧れの対象」に押し上げたといえるでしょう。
幻の「リューズなし」とは?カルティエ ベニュワールの廃盤と旧型モデル

カルティエ ベニュワールの歴史を語る上で、現在の中古市場やコレクターの間で「幻」とまで呼ばれる、特定の廃盤モデルの存在は欠かせません。
それが、リューズ(竜頭)を持たない旧型のミニベニュワールです。
2009年の転換点と廃盤モデルの登場
ベニュワールの歴史における一つの転換点が、2009年に行われたモデルチェンジでした。
この時、それ以前に製造されていた特定のモデル、すなわち「リューズ(竜頭)がない」仕様のベニュワールが廃盤となったのです。
旧型(廃盤)の特徴 リューズのない純粋なフォルム
廃盤となった旧型ミニベニュワール(Ref.2369やW1510956など)の最大の特徴は、時計の側面からリューズが完全に排除されている点にあります。
リューズをなくすという大胆な設計思想は、機能性よりも「フォルムの純粋性」を最優先した結果でした。
これにより、ベニュワール本来の滑らかなオーバル型(バスタブの形状)が、突起物によって一切遮られることのない、完璧な曲線美を実現していたのです。
ちなみに、時間調整はケースの裏蓋に設置された「プッシュボタン」を押して行う、非常に特殊な仕様でした。
廃盤モデルが今なお愛される理由
2009年以降の現行モデルには、利便性を考慮した標準的なリューズが備わっています。
その結果、この「リューズなし・裏蓋ボタン」という特殊な仕様は、廃盤となった旧型のみの貴重な特徴となりました。
このモデルが現代の愛好家から強く求められる理由は、単なる稀少性だけではありません。
それは、時計としての利便性を犠牲にしてでも、ルイ・カルティエが目指したであろう「機能性よりもフォルムの美しさを優先する」という、オリジナルのデザイン思想が最も色濃く、純粋な形で残っているモデルだからです。
2023年新作 カルティエ ベニュワールの復刻と現代の再解釈
ベニュワールの歴史は、過去の遺産であるだけでなく、現在進行形で進化し続けています。
2023年、カルティエは
2023年、カルティエはこのアイコニックなモデルのデザインを、現代の視点から大胆に再構築し、大きな節目を迎えました。
デザインの変更点 プロポーションの逆転
2023年の新作、特に「ミニ ベニュワール」は、そのプロポーション(比率)が根本から見直されました。
ケースは従来よりも小型化しつつ、その周りを囲むベゼル(ゴドロン装飾)は、逆に存在感を増すデザインとなっています。
「小型化すると同時に存在感を強める」という、逆説的なバランスの追求です。
繊細なダイアルと、それをリッチなゴールドで縁取る力強いベゼルの対比が、これまでにない強い個性を放っています。
最大の革新 ゴールドバングルモデルの登場

2023年のリニューアルにおいて最も象徴的な新作は、従来のレザーストラップやブレスレットではなく、手首に滑らせるように装着する「ゴールドのバングル」タイプでしょう。
このバングルウォッチは、ベニュワールの「ジュエリー」としての側面を最大限に昇華させたデザインといえます。
手首の曲線に沿うようにデザインされた湾曲したケースと、シームレスに繋がるゴールドのバングルは、いっそうセンシュアルな表情を見せます。
この革新は、カルティエが「ウォッチメイカー」であると同時に「ジュエラー」であるという、メゾンの二つのアイデンティティが完璧に融合したからこそ生まれ得たものです。
2023年新作 ミニ ベニュワール主要モデル一覧
2023年に発表された主要モデルのスペック(発表当時)をまとめました。
| モデル名 | リファレンス番号 (Ref) | ケース素材 | ケースサイズ (mm) | ストラップ / ブレスレット | ムーブメント | 2023年発表時価格 (税込) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ベニュワール(ミニ) | CRWGBA0017 | イエローゴールド | 24.6×18.7 | ブラック パテントカーフスキン | クォーツ | 1,122,000円 |
| ベニュワール(ミニ) | CRWGBA0018 | イエローゴールド | 24.6×18.7 | イエローゴールド製ブレスレット(バングル) | クォーツ | 1,716,000円 |
| ベニュワール(ミニ) | CRWGBA0019 | ピンクゴールド | 24.6×18.7 | ピンクゴールド製ブレスレット(バングル) | クォーツ | 1,716,000円 |
| ベニュワール(ミニ) | CRWJBA0036 | ホワイトゴールド(ダイヤ付) | 24.6×18.7 | ネイビーブルー パテントカーフスキン | クォーツ | 2,772,000円 |
| ベニュワール(ミニ) | CRHPI01607 | ホワイトゴールド(ダイヤ付) | 24.6×18.7 | ホワイトゴールド製ブレスレット(バングル、ダイヤ付) | クォーツ | 7,128,000円 |
※上記はあくまで2023年発表当時の情報です。金価格の変動やブランドの価格改定により、現在の価格とは異なる場合があります。正確な最新情報は必ず公式サイトをご確認ください。
カルティエ ベニュワールを愛用する芸能人と著名人
ベニュワールの歴史は、それを選び、愛用した人々の歴史でもあります。
その優雅で知的なオーバルシェイプは、時代を象徴するスタイルアイコンたちの手首を飾ってきました。
フレンチ・シックの象徴 カトリーヌ・ドヌーヴ

最も有名な愛用者の一人であり、ベニュワールのアイコン的存在が、フランスの伝説的な女優カトリーヌ・ドヌーヴさんです。
彼女は1960年代から70年代にかけ、映画のプレミアからプライベートまで、公私にわたりベニュワールを愛用する姿が数多く写真に残されています。
レザーストラップ仕様だけでなく、フルメタルのブレスレット仕様も着用しており、彼女のスタイルに欠かせないアイテムであったことがうかがえます。
英国王室の気品 ダイアナ妃
その気品とスタイルで世界中を魅了したダイアナ妃(プリンセス・オブ・ウェールズ)もまた、ベニュワールの愛用者の一人でした。
彼女が着用していたのは、イエローゴールドモデルであったとされています。
性別を超えるアイコン ジョージ・ハリスンとポール・メスカル
ベニュワールは一般的にレディースウォッチとして認識されがちですが、その歴史の初期から、デザインの本質を理解する先進的な男性たちにも選ばれていました。
ビートルズのジョージ・ハリスンさんは、バンドのマネージャーであったブライアン・エプスタインさんからベニュワールを贈られたことが知られています。
この「ジェンダーレス」な歴史は現代にも続いています。
俳優のポール・メスカルさんは、映画『グラディエーターII』のプレミアという大舞台でベニュワールを着用し、大きな注目を集めました。
これらの着用例は、ベニュワールが性別を問わない純粋な「フォルムの美しい時計」であることを証明しています。
現代のスタイルアイコンたち
現代においても、その魅力は受け継がれています。
母親のジェーン・バーキンさんから贈られたベニュワールを愛用するルー・ドワイヨンさんや、ケンダル・ジェンナーさん、エル・ファニングさんなど、多くのスタイルアイコンがその手首にベニュワールを選んでいます。
ベニュワール以外にも、カルティエの時計を愛用している他の芸能人は数多く、その人気の高さがうかがえますね。

ベニュワールは「後悔」する?購入前の懸念点を解消
その歴史的価値と唯一無二のデザインに惹かれる一方で、「買って後悔しないか?」という現実的な懸念も存在します。
高価な買い物だからこそ、デメリットも知っておきたいですよね。
「後悔」というキーワードで検索される、主な理由を分析しました。
「後悔」といわれる理由1:傷つきやすさ
ベニュワールのケースは18Kゴールド製です。
ゴールドは、一般的なステンレススチールと比較して柔らかい金属です。
特に鏡面(ポリッシュ)仕上げの部分は、日常使いの中でどうしても細かな生活傷(ヘアラインスクラッチ)がつきやすいのは事実です。
これを「味」と捉えるか「気になる」と捉えるかで、満足度が変わる可能性があります。
「後悔」といわれる理由2:価格と素材(18Kのみ)
先のセクションでも触れた通り、ベニュワールは基本的に18Kゴールドモデルのみです。
そのため、ステンレスモデルが主流の他コレクションと比較すると、どうしても価格帯が高くなります。
「デザインは好きだが、予算的に厳しい」という点が、購入をためらう理由になることもあるようです。
「後悔」といわれる理由3:デザインの個性
ベニュワールのオーバルシェイプは、非常に個性的でエレガントです。
しかし、その個性がゆえに「自分の服装に合うか不安」「TPOが限定されるのでは?」と感じる人もいるかもしれません。
円形や四角形の時計に比べると、良くも悪くも「時計が主役」になりやすいデザインであることは確かです。
ベニュワールは普段使いできる?シーン別TPO

では、ベニュワールは「特別な日の時計」で、普段使いには向かないのでしょうか?
結論からいえば、ポイントを押さえれば普段使いもまったく問題なく可能です。
普段使いのメリット 唯一無二の存在感
ベニュワールを普段使いする最大のメリットは、その唯一無二の存在感です。
シンプルなTシャツやデニムといったカジュアルな装いに合わせるだけで、一気にスタイル全体を格上げしてくれます。
特にミニベニュワールは、まるでブレスレットのようなジュエリー感覚で身につけられるため、普段使いに最適ですよ。
普段使いのデメリットと注意点
注意点は、やはり「傷つきやすさ」です。
デスクワークでPCに腕をぶつけやすい環境や、重い荷物を持つ作業が多い日などは、少し気を使った方が良いかもしれません。
とはいえ、過度に神経質になる必要はなく、時計を外す習慣をつけることで十分対応可能です。
オフィスシーンでの活用術
オフィスシーンでは、ミニサイズやSMサイズのレザーストラップモデルがおすすめです。
華美になりすぎず、知性と品格をさりげなく演出してくれます。
ゴールドバングルモデルは、オフィスの雰囲気によっては少し華やかすぎる場合もあるため、TPOに合わせて選びましょう。
カジュアルシーンでの合わせ方
カジュアルシーンでは、ベニュワールの独創性が最も活きます。
あえてラフな服装に合わせることで、洗練された「抜け感」を演出できます。
ゴールドバングルモデルも、休日のドレッシーなディナーなどには最適ですね。
カルティエ ベニュワールの中古市場と資産価値
歴史あるベニュワールを、あえて「中古」で探すという選択肢も非常に魅力的です。
特に、現行では手に入らない廃盤モデルは、中古市場でしか出会えません。
ベニュワールの中古市場の動向
ベニュワールの中古市場は、安定した人気を保っています。
特に人気が高いのは、やはり「リューズなし」の旧型廃盤モデルです。
その稀少性とデザインの純粋性から、状態の良い個体は高値で取引される傾向にあります。
ほかにも、縦長の「ベニュワール アロンジェ」や、ジュエリー感覚で使える「ミニ ベニュワール」も根強い人気を誇ります。
もしお得に購入する方法を検討している場合は、カルティエを安く買う方法を解説した記事も参考にしてみてください。

資産価値は高い?リセールバリューの現実
カルティエの時計は、ブランド全体の価値が非常に安定しており、中古市場での需要も高いです。
ただし、「資産価値」や「リセールバリュー(再販価値)」については、いくつかの点を理解しておく必要があります。
資産価値に関する記述は、あくまで一般的な市場の傾向を示すものであり、将来の価格を保証するものではありません。
一般的に、カルティエの中で最もリセールバリューが高いとされるのは「ラブブレス」や一部の「タンク」「サントス」などです。
ベニュワールは、それらに比べるとリセールバリューはやや落ち着く傾向にある、というのが一般的な見解です。
とはいえ、カルティエの近年の値上げ情報にも見られるように、新品価格が上昇し続けているため、中古市場の価格もそれに伴い上昇傾向にあります。
特に「リューズなし廃盤」のような特定の人気モデルは、購入時と近い価格か、それ以上で取引されるケースもゼロではありません。
今が売り時?買取査定のポイント
もし、お手持ちのベニュワール(特に旧型や廃盤モデル)の売却を検討している場合、その価値は年々高まっている可能性も考えられます。
時計の価値は、モデルの人気、状態(傷、動作)、付属品(箱、保証書)の有無によって大きく変動します。
現在の正確な価値を知りたい場合は、一度、時計の買取を専門とするサービスで査定を受けてみるのが最も確実な方法です。
宝石の買取りならリファスタのような専門知識が豊富なサービスであれば、ベニュワールの歴史的価値や稀少性も踏まえた上で、適正な価格を提示してくれるでしょう。
最終的な判断は、複数の専門家の意見を聞いた上で慎重に行うことをおすすめします。
まとめ:カルティエ ベニュワールの歴史は「フォルム探求」の物語
今回は、「カルティエ ベニュワールの歴史」を、誕生の背景から現代の価値まで徹底的に掘り下げました。
ベニュワールの物語は、1912年にルイ・カルティエが抱いた「円形からの脱却」という挑戦から始まった、デザイン探求の生きた系譜です。
- 1912年:円形が主流の時代に、革新的なオーバル(楕円形)の原型が誕生。
- 1973年:コレクション化され、カトリーヌ・ドヌーヴら時代のミューズに愛される。
- 廃盤期:「リューズなし」モデルのような、フォルムの純粋性を極限まで追求した哲学。
- 2023年:バングルモデルという、ジュエリーとしての新たな解釈で復刻。
ベニュワールは、いつの時代も「普通」を選ばない、確固たる美意識を持つ人々に選ばれ続けてきました。
この記事を読んで、その歴史的価値とデザインの深さに共感し、実物を見てみたいと感じた方もいるかもしれませんね。
カルティエの店舗は入りづらいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ぜひ一度、その100年続くフォルムの美しさを体感してみてください。

カルティエ ベニュワールに関するFAQ
最後に、カルティエ ベニュワールの歴史やモデルに関してよく寄せられる質問にお答えします。
ベニュワールの名前の由来は?
フランス語で「バスタブ(浴槽)」という意味です。
そのなめらかで優雅なオーバル(楕円形)のケースフォルムが、西洋の伝統的な自立式のバスタブに似ていることから名付けられました。
ベニュワールはいつからあるの?
ベニュワールの時計としての原型は1912年にデザインされました。
その後、デザインが洗練され、1958年に「オーバル サントレ」として実質的な完成形が登場し、1973年に正式に「ベニュワール」コレクションとしてシリーズ化されました。
ベニュワール アロンジェとは何ですか?
ベニュワール アロンジェ(Baignoire Allongée)は、1960年代後半に登場した派生モデルです。
「アロンジェ」はフランス語で「引き伸ばされた」という意味を持ち、その名の通り、ベニュワールのオーバルケースを縦方向に大胆に引き伸ばした、非常に個性的でエレガントなデザインが特徴です。
廃盤の「リューズなし」はなぜ人気なの?
2009年頃まで存在した旧型ミニベニュワールの一部で、時間調整のリューズ(竜頭)がないモデルのことです。
時間調整は裏蓋のプッシュボタンで行う特殊な仕様でした。
フォルムの純粋性を最優先した設計思想が、カルティエのデザイン哲学を色濃く反映しているとして、稀少価値とともコレクターや愛好家から高い人気を集めています。
ベニュワールの資産価値はどのくらい?
資産価値は、モデルの人気、稀少性、市場の需要、時計の状態で大きく変動するため、一概にはいえません。
あくまで一般的な傾向として、カルティエの時計は安定した需要がありますが、ベニュワールは投資目的というよりは、その唯一無二のデザインを楽しむための時計といえるでしょう。
ただし、「リューズなし」の廃盤モデルなど、一部の稀少な個体は、中古市場で非常に高い価値がつく可能性があります。

