カルティエの文字盤が黄ばみ変色する原因とは?交換費用と対処法

カルティエの文字盤が黄ばみ変色する原因とは?交換費用と対処法

カルティエの時計を長年愛用されている方の中には、ふと手元を見たときに「文字盤の色が以前と違う」と気づかれた方も多いのではないでしょうか。かつては透き通るような白やシルバーだった文字盤が、アイボリーやクリーム色、あるいは茶色いシミのような変色を起こしている状態です。

「この黄ばみは汚れだから、クリーニングできれいになるのだろうか?」
「修理に出すと高額な費用がかかるのではないか?」
「もしこのまま売るとしても、変色していると二束三文になってしまうのか?」

このような疑問や不安を抱くのは当然のことです。特にカルティエのようなラグジュアリーブランドの時計において、文字盤の状態は資産価値を左右する極めて重要な要素です。しかし、実はその「黄ばみ」には、「直すべき危険な劣化」と、「ヴィンテージの味として評価される経年変化(パティナ)」の2種類が存在することをご存知でしょうか。

例えば、私が運営するブログの別記事「カルティエタンクの昔の値段はいくら?価格推移と高騰の理由」でも触れましたが、特定の年代のモデルにおいては、均一な黄ばみがかえって希少価値を生み出し、現行の中古品よりも高値で取引されるケースすらあります。一方で、湿気による腐食が原因の変色は、放置すると内部のムーブメントまで破壊してしまう深刻なサインです。

本記事では、カルティエの文字盤が黄ばむ物理的なメカニズムから、正規店と民間修理店の費用比較、そして「修理して使うか、そのまま売るか」の経済的な損益分岐点までを、徹底的なリサーチデータに基づいて解説します。単なる汚れ落としの方法だけでなく、あなたの大切な時計の資産価値を守るための判断基準を持ち帰ってください。

この記事でわかること
  • 黄ばみが発生する物理的なメカニズムと4つの主要原因
  • 「価値が下がる劣化」と「評価されるパティナ」の明確な違い
  • マストタンクやサントスなどモデル別の変色リスクと傾向
  • 正規コンプリートサービスと民間リダンの費用対効果とリスク

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目次

カルティエの文字盤が黄ばみ変色する4つの物理的原因

カルティエの文字盤が黄ばみ変色する4つの物理的原因

カルティエの時計における文字盤の変色は、単に「古くなったから」という曖昧な理由で片付けることはできません。そこには明確な化学的・物理的な要因が存在します。

主に、紫外線、湿度、塗料の性質、そしてケース素材との相互作用が複合的に絡み合って発生します。まず、ご自身の時計の黄ばみがどのタイプに当てはまるのかを理解することが、適切な対処(修理か保存か)を選ぶ第一歩です。

紫外線による光酸化劣化(フォト・オキシデーション)

最も一般的かつ、ヴィンテージ市場において比較的「良質」とされる黄ばみの原因が、長期間にわたる紫外線(UV)への曝露です。

ラッカー・エナメル塗料の化学変化

1980年代以前のカルティエのモデルに使用されていた文字盤の塗料(ラッカーやエナメル)は、現代の塗料と比較して紫外線に対する耐性が低く、紫外線のエネルギーを吸収しやすい性質を持っています。

長年の使用で日光を浴び続けると、塗料に含まれる樹脂成分や顔料の化学結合の一部が破壊され、「光酸化反応(フォト・オキシデーション)」と呼ばれる現象が起きます。これにより、本来の「純白」や「シルバー」の色調が、徐々に「アイボリー」「クリーム」「シャンパンゴールド」へとシフトしていきます。

この変化は表面だけに留まらず、塗料の層全体で進行するため、非常に均一で滑らかな変色となるのが特徴です。

クリーニングで白く戻らない理由

多くのユーザーが誤解している点ですが、このタイプの黄ばみは「表面に付着した汚れ」ではありません。素材そのものの化学構造が変化(変質)してしまっている状態です。

したがって、いくら表面を洗浄液で拭き取ったり、超音波洗浄を行ったりしても、元の白さに戻ることは物理的に不可能です。これは、日焼けした肌を洗っても元の色に戻らないのと同様の理屈です。この事実を知らずに無理なクリーニングを試みると、文字盤の印字を消してしまうリスクがあるため、絶対に避けるべきです。

湿気と水分侵入による内部腐食

紫外線による均一な黄ばみとは異なり、不均一なシミや茶色の斑点を引き起こすのが「水分」です。これは時計にとって明確な「ダメージ」であり、早急な対処が必要な状態です。

ガスケット劣化とサビの発生メカニズム

カルティエの時計の多くは日常生活防水機能を備えていますが、裏蓋、リューズ、ガラス周りに使用されているゴムパッキン(ガスケット)は消耗品です。経年劣化によりパッキンが硬化・収縮すると、防水性が失われ、そこから湿気が内部に侵入します。

侵入した湿気は、文字盤のベース金属(真鍮など)を腐食させます。この腐食によって発生した微細なサビやカビが、塗装の下から表面に浮き出てくることで、茶色や濃い黄色の「シミ」となります。

均一な黄変と「シミ・斑点」の決定的な違い

紫外線劣化が「全体的にうっすら黄色い」のに対し、湿気による劣化は「水玉状のシミ」「縁周辺の茶色い変色」「塗装の浮き」として現れます。

特徴紫外線劣化(光酸化)湿気劣化(腐食)
見た目全体が均一なクリーム色〜アイボリー不均一な斑点、茶色のシミ、カビ
原因日光による塗料の化学変化パッキン劣化による水分侵入・サビ
緊急度低(美観の問題)高(機械内部へのサビ波及の危険)
市場評価パティナとして評価される可能性ありダメージとして大幅減額対象

トリチウム夜光塗料の経年変化(ヤケ)

古いサントスやダイバーズモデル(パシャなど)に見られる夜光塗料も、黄ばみの大きな要因です。1990年代後半まで、多くの時計メーカーは夜光塗料に「トリチウム」を使用していました。

放射性崩壊によるインデックス周辺の変色

トリチウムは半減期約12年の放射性物質を含んでおり、崩壊とともに塗料のバインダー(接着剤)成分が強力に黄変する性質を持っています。

この変色は、夜光塗料が塗られているインデックス(目盛り)や針そのものが黄色〜オレンジ色になるだけでなく、その周辺の文字盤部分を焦がしたように変色させることがあります。これをコレクター用語で「ヤケ」と呼びます。

ヴィンテージ特有の評価ポイント

現代の時計で使用される「ルミノバ」夜光はほとんど変色しませんが、トリチウムによる強力な変色は「その時代にしか作れなかった時計」の証明となります。そのため、トリチウムのヤケによる黄ばみは、ヴィンテージとしての真正性を示す要素として、愛好家の間で肯定的に捉えられています。

スパイダーダイアル(クラック)による視覚効果

カルティエのタンクの歴史|1917年の誕生秘話と歴代モデルの系譜」でも触れられることのある1980年代の「マストタンク」や「サントス」には、文字盤表面が蜘蛛の巣状にひび割れる現象、通称「スパイダーダイアル」が多く見られます。

熱膨張率の差が生む「ひび割れ」現象

これは、文字盤のベース金属と、その上に塗られた厚いラッカー塗装の熱膨張率が異なるために発生します。温度変化の繰り返しによって金属と塗料が異なる割合で膨張・収縮し、ラッカー層が耐えきれずにひび割れてしまうのです。

光の屈折による黄ばみの見え方

物理的には「割れ」ですが、クラックが入ることで光の屈折が変わったり、クラックの隙間から下地の酸化が見えたりすることで、文字盤全体が黄色っぽく、あるいはアンティーク調の独特な色合いに見えることがあります。これも「黄ばみ」として検索される事象の一部を構成しています。

その黄ばみは「劣化」か「パティナ(味)」か?価値の分かれ道

その黄ばみは「劣化」か「パティナ(味)」か?価値の分かれ道

SEOの観点からも、また所有者の資産管理の観点からも極めて重要なのが、「すべての黄ばみが悪ではない」という事実です。カルティエの二次流通市場においては、黄ばみの種類によって価値が暴落する場合と、逆に高騰する場合が明確に分かれます。

評価を下げる黄ばみ(ダメージ・汚損)

現代のモデルや、一般的な中古品として流通する個体において、以下の状態は明確に「欠陥」とみなされます。

視認性の低下と不均一なシミのリスク

文字盤の変色が激しく、時間の確認が困難なものや、前述した「湿気による斑点状のシミ」は、美観を損ねるだけでなく、内部機械のコンディション不良を示唆するため、買取価格を著しく下げます。これらは「要修理品(ジャンク扱い)」と判断され、通常の相場からオーバーホール代および文字盤交換代相当(約5万〜10万円)が差し引かれる可能性があります。

現代モデル(タンクフランセーズ等)における評価

例えば、2000年代以降に製造された「タンクフランセーズ」や現行の「サントス」の文字盤が黄ばんでいる場合、それはヴィンテージの味とはみなされません。単なる劣化や、喫煙によるヤニ汚れ、あるいは過酷な環境での使用によるダメージと判断されます。

現代モデルにおいては「白く美しい状態」こそが正解であり、黄ばみはクリーニング(分解掃除)や交換が推奨されるマイナス要素となります。

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評価を上げる黄ばみ(トロピカル・アイボリー)

一方で、特定の条件を満たす黄ばみは「クリームダイアル」や「アイボリーダイアル」と呼ばれ、希少価値を生み出します。

パリ文字盤(Paris Dial)におけるクリーム変化の価値

特に別格扱いされるのが、6時位置に「PARIS」と記載された1970年代〜80年代初頭の個体です。通常は「SWISS」や「SWISS MADE」と記載されますが、カルティエの本店があるパリで販売・製造されたことを示すこの表記は、コレクター垂涎の的です。

これらの「Paris文字盤」が、紫外線により均一にクリーム色に変色している場合、それは「ヴィンテージの証(トロピカル)」として歓迎されます。私の調査したデータセットによると、ホワイトの状態よりも、美しくエイジングした個体の方が高値で取引されるケースが多々あります。

ヴィンテージ市場での取引価格データ比較

具体的な市場データを見ると、その価値の差は歴然としています。

  • 一般的な中古品: 状態によるが、年式相応の価格。
  • 美しい黄ばみを持つParis文字盤: 例えば、18Kイエローゴールドの「タンク ルイ カルティエ」で、良い具合に黄ばんだParis文字盤を持つ個体は、$8,000〜$27,000(約120万〜400万円以上)の範囲で取引されています。これは、現行の中古品価格を上回る数字です。

マストタンクと金無垢モデルの判断基準の違い

コンテンツ作成にあたり、ユーザーが所有している時計が「マストタンク(メッキ)」なのか「タンク ルイ(金無垢)」なのかによって、アドバイスは分岐します。

メッキ剥がれを伴う劣化と資産価値の維持

カルティエのメンズ時計はなぜダサいと言われる?実は恥ずかしくない理由」の記事でも解説しましたが、マストタンクはシルバー925に金メッキを施した「ヴェルメイユ」素材です。

マストタンクの場合、文字盤の黄ばみに加えて、ケースのメッキ剥がれや黒ずみが併発していることが多く、これらは複合的な「劣化」とみなされやすい傾向にあります。対して、金無垢のタンク ルイ カルティエの場合、ケースは磨けば輝きを取り戻すため、文字盤の黄ばみだけが「味」として際立ち、資産価値としてプラスに働きやすいのです。

モデル別に見る文字盤黄ばみの傾向と注意点

モデル別に見る文字盤黄ばみの傾向と注意点

カルティエの時計はモデルによってケース構造や使用素材が異なり、それに伴い「黄ばみ」のリスクや傾向も異なります。ご自身の所有モデルに合わせて、リスク要因を確認してください。

マストタンク(Must de Cartier Tank)

1970年代に登場し、カルティエを大衆に広めた大ヒットモデルです。現在中古市場で最も流通量が多いヴィンテージの一つですが、素材の特性上、独特の汚れ方をします。

ヴェルメイユケースの変色と文字盤への侵食

マストタンクのケースは「ヴェルメイユ(SV925銀無垢に金張り)」です。銀は空気中の硫黄分と反応して硫化(黒ずみ)する性質があります。防水性が低下した個体では、ケースの隙間から発生した黒ずみや緑青(ろくしょう)が文字盤の縁に浸透し、黄ばみと共に「黒い縁取り」のような汚れが発生することがあります。これは非常に除去が困難な汚れです。

加水分解リスクの高い黒・茶文字盤

マストタンクには白文字盤以外にも、黒、茶、ボルドー、三色ゴールドなどのバリエーションが存在します。これらの濃色文字盤は、経年劣化によるラッカーの加水分解が起きやすく、スパイダー状のクラックが非常に発生しやすい傾向にあります。

サントス(Santos)およびサントスガルベ

完全版】カルティエのサントスの歴史!世界初の腕時計の軌跡」でも紹介している通り、世界初の腕時計としての歴史を持つスポーティーなモデルです。日常使いされる頻度が高いため、紫外線と汗の影響を最も受けやすいモデルと言えます。

クリームダイアル化しやすいローマン文字盤

ホワイトのローマン文字盤が、全体的に柔らかいクリーム色に変化する個体が多く見られます。サントスに関しては、この変化は比較的「きれいな劣化」として受け入れられやすく、サントスガルベのクリームダイアルは、状態が良ければ買取価格140,000円〜300,000円以上が見込めます。

ブルースチール針のサビと文字盤への転移

サントスで特に注意すべきなのは、文字盤の黄ばみとセットで発生する「針のサビ」です。美しい青色のブルースチール針が湿気で錆び、その赤錆の粉が文字盤に落ちると、除去できない茶色いシミになります。文字盤全体がきれいでも、針サビによるシミが一点あるだけで評価はガタ落ちとなるため、早めのメンテナンスが必要です。

タンク ルイ カルティエ (Tank Louis Cartier)

金無垢の高級ラインであり、最もコレクター性が高いモデルです。

「Paris」表記の保存が最優先される理由

このモデルにおいては、「文字盤交換」は資産価値を数百万円単位で損なう可能性がある危険な行為です。前述の通り、「Paris」表記のあるオリジナル文字盤は、多少黄ばんでいても、ひび割れていても、それを維持することが鉄則とされています。

コレクターが嫌う安易な部品交換

もし、良かれと思ってカルティエ正規店で文字盤を新品(現行のSWISS MADE表記)に交換してしまうと、その時計は「ヴィンテージのタンクLC」ではなく、「ただの古い金無垢時計」に成り下がってしまいます。投資対象として保有している場合は、黄ばみこそが資産の一部であると認識してください。

文字盤黄ばみの対処法1:カルティエ正規コンプリートサービス

文字盤黄ばみの対処法1:カルティエ正規コンプリートサービス

「黄ばみを直したい」と考えたとき、真っ先に思い浮かぶのがカルティエの正規カスタマーサービスでしょう。メーカーならではの安心感がある一方で、ヴィンテージウォッチのオーナーにとっては「諸刃の剣」となる可能性があります。

正規修理の内容とプロセス

カルティエでは、単に文字盤の汚れを落とすだけの修理は行っていません。時計を分解し、機械内部の洗浄・注油、消耗部品の交換、そして防水検査までをセットにした「コンプリートサービス(オーバーホール)」を受けることが前提となります。

ムーブメントのオーバーホールと防水テスト

正規サービスでは、厳格な品質基準に基づき、ムーブメント(内部機械)を新品に近い状態まで機能回復させます。黄ばみの原因となる湿気の侵入を防ぐため、裏蓋やリューズのパッキンもすべて新しい純正品に交換されます。

文字盤交換にかかる費用総額

ここが最大のポイントですが、カルティエでは「古い文字盤の塗り直し(リダン)」は行いません。劣化が激しい場合は「新品部品への交換」が提案されます。

基本技術料と部品代(文字盤・針)の内訳

  • コンプリートサービス基本料金(機械式): 約46,000円〜(モデルにより変動)
  • 文字盤部品代: 別途見積もり(数万円〜)
  • 針セット部品代: 別途見積もり(数万円〜)

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総額20万円を超えるケースと見積もりの現実

文字盤を交換する場合、色味を合わせるために針の交換もセットで求められることが一般的です。さらに、ガラスに傷があればガラス交換も必須となるケースが多く、これらを合計すると総額で10万円〜20万円を超えることも珍しくありません。「カルティエの修理キットは2種類?公式・民間の比較と最適な依頼先」でも解説していますが、あくまで「新品同様に戻す」ためのコストと割り切る必要があります。

正規サービスのメリットと重大なリスク

  • メリット:
    • 確実に本物の純正部品で修理される安心感。
    • 「修理証明書」が発行され、正規メンテナンスを受けた履歴が残る。
    • 見た目も機能も、現代の使用に耐えうるレベルまで回復する。
  • 重大なリスク(ヴィンテージ価値の喪失):
    • 「Paris」表記の消滅: これが最大のリスクです。もし「Paris」文字盤を交換に出すと、戻ってくる時計の文字盤は現行の「SWISS MADE」表記のものになります。これにより、数百万円の価値があったヴィンテージ性が失われます。
    • トリチウム夜光の消失: 焼けたトリチウム針も、光るルミノバ針に交換されてしまいます。

文字盤黄ばみの対処法2:民間修理店でのオーバーホールとリダン

文字盤黄ばみの対処法2:民間修理店でのオーバーホールとリダン

コストを抑えたい方や、正規店では対応できない「見た目の修復(リダン)」を希望する方にとって、民間の時計修理専門店は有力な選択肢です。

民間修理業者の費用相場と期間

民間業者の最大の魅力は、その柔軟性と価格設定です。

オーバーホールのみで済ませる場合のコスト

黄ばみはそのままで良いから、機械の調子だけ直したい場合、民間修理店であれば文字盤交換を強制されることはありません。
一般的な3針モデルのオーバーホール相場は約23,000円〜28,000円程度と、正規の半額近い価格で依頼可能です。

文字盤リダン(再生・書き換え)の真実

正規店にはないメニューとして「リダン(Redial)」があります。これは、既存の文字盤の古い塗装をすべて剥離し、新しく塗装とプリントを施し直す技術です。

剥離・再塗装による復元プロセス

職人が手作業でロゴやインデックスを描き直すため、新品同様の白さを取り戻すことができます。また、白文字盤を黒やピンクに色変え(カスタム)することも可能です。

リダンにかかる費用(約2万円〜)と仕上がり

文字盤再生単体の費用は約21,780円〜が相場です。オーバーホールと合わせても5万円程度で、見た目を新品のように蘇らせることができます。ただし、仕上がりのクオリティは職人の腕に大きく左右されます。ロゴの書体が微妙に太かったり、インデックスの配置がズレていたりするケースもあるため、業者選びは慎重に行う必要があります。

リダンを行う前に知っておくべき資産価値への影響

リダンは「安くきれいになる」魔法のようですが、資産価値の観点からは劇薬です。

「改造品」扱いによる買取価格の暴落

リダンされた文字盤は、メーカーから見れば「改造品(非純正)」とみなされます。将来その時計を手放す際、多くの買取店では「文字盤の価値ゼロ」あるいは「買取不可」と判定されるリスクがあります。
特にヴィンテージとしての価値があるモデルでリダンを行うことは、自らその価値を捨てているようなものです。あくまで「一生自分で使い潰す」という覚悟がある場合のみ推奨されます。

正規 vs 民間 費用・特徴比較表

項目カルティエ正規サービス民間時計修理専門店
基本料金 (OH)¥46,000〜¥23,000〜
文字盤対応新品交換のみ (高額)リダン (再生) 対応可
交換・修理費用部品代別途 (総額10〜20万円超も)リダン ¥21,780〜
メリット純正保証・機能の完全回復安価・デザイン変更可能
デメリットヴィンテージ性の喪失リスク資産価値低下 (改造品扱い)
おすすめのケース永く使える実用品にしたい場合コスト重視・自己責任で楽しむ場合

文字盤黄ばみの対処法3:修理せずに「そのまま売る」選択肢

文字盤黄ばみの対処法3:修理せずに「そのまま売る」選択肢

「修理代が高いなら、いっそ手放して新しい時計の資金にしたい」
そう考える方にとって、現状のままで売れるのか、安くなってしまうのかは最大の懸念点でしょう。結論から言えば、無理に修理せず、そのまま査定に出すのが経済的に最も正解であるケースが大半です。

買取査定における黄ばみの評価基準

清潔感のある黄ばみは減額なしかプラス査定

先述した通り、紫外線による均一なクリーム色の変色は「パティナ」として評価されます。特に文字(ローマンインデックス)のかすれがなく、全体が綺麗に焼けている個体は、減額どころか希少個体としてプラス査定になる可能性があります。「カルティエのタンクの歴史」を知るバイヤーであれば、その価値を正当に評価してくれるでしょう。

汚損・カビがある場合の減額幅

一方で、湿気による斑点状のシミやカビがある場合は減額対象です。しかし、その減額幅は「業者が提携工房で修理する原価」分だけです。個人が正規店で20万円かけて修理するよりも、業者が安く直すコストの方が圧倒的に低いため、修理してから売るよりも、そのまま売った方が手元に残る現金は多くなります。

修理コストとリセールバリューの損益分岐点

修理してから売ると損をするケース

例えば、買取相場が15万円のサントスオクタゴンがあるとします。

  1. そのまま売る: 多少の黄ばみで減額され、12万円で買取。
  2. 修理して売る: 正規で10万円かけて文字盤交換。査定額は15万円(美品相場)にアップ。しかし手元に残るのは15万 – 10万 = 5万円

このように、売却目的での修理は経済的合理性がありません。「カルティエのホワイトゴールドがはげる?原因と修理法」でも解説しましたが、現状渡しが基本です。

現状渡しが最も経済的な理由

特に「Paris」文字盤などのレア個体の場合、下手に修理(部品交換)をしてしまうと、買取価格が200万円から50万円に暴落するといった悲劇も起こり得ます。迷ったら「何もせずプロに見せる」のが鉄則です。

大切なカルティエを黄ばみから守る日常のお手入れ

大切なカルティエを黄ばみから守る日常のお手入れ

すでに発生してしまった黄ばみは元に戻せませんが、これ以上の進行を食い止めることは可能です。

紫外線と高温多湿を避ける保管方法

使わないときは、直射日光の当たらないジュエリーボックスに保管してください。窓際に置きっぱなしにするのは厳禁です。また、湿気は大敵ですので、お風呂場の脱衣所などに放置するのも避けましょう。

リューズとガラス周りの点検ポイント

湿気の侵入経路であるリューズがしっかりと押し込まれているか、ガラスにヒビが入っていないかを定期的にチェックしましょう。「カルティエの箱が開かない!3つの危険行為」の記事同様、物理的な破損は放置すればするほど修理費が嵩みます。

定期的なオーバーホールが結果的に安く済む理由

パッキン(ガスケット)は3〜5年で寿命を迎えます。文字盤が腐食する前にパッキンさえ交換しておけば、高額な文字盤交換は防げます。数万円のメンテナンス代を惜しんで、数十万円の資産価値を失わないようにしましょう。

まとめ:カルティエの文字盤黄ばみは時計の「履歴書」

まとめ:カルティエの文字盤黄ばみは時計の「履歴書」

カルティエの時計における文字盤の黄ばみは、その時計が経てきた時間の「履歴書」と言えます。
紫外線による美しいアイボリーへの変化は、長い時間を共に過ごした証であり、ヴィンテージとしての勲章です。一方で、湿気によるシミは、メンテナンスの必要性を訴える重要なサインです。

本記事で解説した通り、すべての黄ばみが悪ではありません。

  • Paris文字盤やトリチウムのヤケは、絶対に交換せずそのまま維持する。
  • 湿気によるシミは、内部機械を守るために早急なオーバーホールを行う。
  • 売却を検討する場合は、修理費で損をしないよう「現状渡し」を選ぶ。

ご自身の時計の状態と、今後どう付き合っていきたいか(資産として持つか、実用品として使うか)に合わせて、最適な選択をしてください。正しい知識があれば、黄ばみは決して怖いものではありません。

カルティエの文字盤黄ばみに関するFAQ

Q1. 文字盤の黄ばみは自分で掃除して落とせますか?

A. いいえ、絶対に不可能です。
黄ばみの多くは、表面の汚れではなく、塗料や素材そのものの化学変化(変質)や内部からの腐食です。表面を洗剤やアルコールで拭いても白くはならず、逆に文字盤の印字を消してしまったり、水分を入れて機械を壊したりする原因になります。自己判断でのクリーニングは避けましょう。

Q2. マストタンクの文字盤交換だけを依頼することは可能ですか?

A. 原則として、オーバーホールとのセットになります。
カルティエ正規カスタマーサービスでは、文字盤交換のみの単独修理は受け付けていません。時計の機能を保証するため、コンプリートサービス(分解掃除)の一環として部品交換が行われます。

Q3. オークションで黄ばんだカルティエを買っても大丈夫ですか?

A. 黄ばみの種類によります。
全体が均一にクリーム色になっている個体(特にサントスやタンクLC)は、ヴィンテージの味として楽しめる良品である可能性が高いです。しかし、文字盤に「茶色い斑点」や「水玉状のシミ」がある場合は、内部機械が錆びているリスクが高いため、購入後の修理費(オーバーホール代)を見込んでおく必要があります。

Q4. 文字盤リダンをした時計はカルティエで修理してくれますか?

A. 受付を拒否される可能性が高いです。
文字盤をリダン(書き換え)すると、カルティエ社外による「改造品」とみなされます。正規カスタマーサービスでは、改造品の修理を受け付けない、あるいは「文字盤を純正新品に交換(高額費用発生)することを条件に修理を受ける」という対応になることが一般的です。詳しくはカルティエ公式サイトの修理規約等をご確認ください。

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